【読みやすい記事作成のコツ】送り仮名の付け方を確かめる方法とは?[徹底解説]
こんにちは、Umekoです。
出版関係で30年働いてきた編集者です。
60歳でブログをスタートして、自由で快適な生き方を探索中です。
ネット副業やブログなどで活動するためには、文章スキルは必須です。
文章を作成していて、「送り仮名の付け方」に迷うときはありませんか?
PCで「おこなう」と入力すると、「行なう」も「行う」も、候補として表示されるような場合です。
「送り仮名」にバラつきがあると、読みづらくなるよ
送り仮名は使い方に幅があるので、不統一になりやすいもののひとつです。
送り仮名が不統一だと、記事が読みづらくなりますよね。
そこで今回のブログでは、紙メディアで30年働いてきた私が、悩ましい「【送り仮名】の付け方」について、確かめる方法を紹介します。
送り仮名を統一して、みなさんの「文章力アップ」につなげていただけたら幸いです。
「送り仮名」を統一して、文章力をアップしよう
送り仮名とは、誤読を避け読みやすくするために、漢字の後に添える「仮名」のことです。
新聞社や多くの出版社では、送り仮名の統一に、内閣告示の「送り仮名の付け方」(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/index.html)を基準にしています。
蛇足となりますが、今から約52年前の昭和48年6月18日に、「訓令第2号」(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/kunrei.html)を発令したのは、当時の内閣総理大臣、田中角榮です。
さまざまな政策を成し遂げたことでも有名ですが、「送り仮名法」の整備にも取り組んでいたんですね。
文化庁のWebサイトには「送り仮名の付け方」について、以下の解説があります。
この「送り仮名の付け方」は、「単独の語」と「複合の語」、「活用のある語」と「活用のない語」に分けるなど、語の性質や成り立ちによって送り仮名の付け方に七つの通則を立て、各通則には「本則」のほかに必要に応じて「例外」・「許容」を設け、常用漢字表の音訓によって書き表す語を対象として約500語の語例を掲げてあるものです。
「送り仮名の付け方 解説」(文化庁)(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/kaisetu.html)
なぜこのような「送り仮名法」がつくられたのか?
調べてみると、現代に至る日本語の歴史をしみじみと感じます。
1つの語を漢字で書く場合、その漢字の読み方を明らかにするために漢字に添える″仮名”が送り仮名である。もともとこの送り仮名は、誤読・難読をおそれて付けたものであるから、活用語尾と語末の一音を示せばよかった。
『日本語表記ルールブック』日本エディタースクール
したがって、古くは、あまり送らないのが普通であった。しかし、その後、口語文が普及するにつれて、送り仮名がしだいに多く送られるようになった。そのためにこれを統一する必要がおこり、いくつかの送り仮名法がつくられるようになった。
文化庁のWebサイトにある「送り仮名の付け方 前書き」には、次のように示されています。
一 この「送り仮名の付け方」は、法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活において、「常用漢字表」の音訓によって現代の国語を書き表す場合の送り仮名の付け方のよりどころを示すものである。
二 この「送り仮名の付け方」は、科学・技術・芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。
三 この「送り仮名の付け方」は、漢字を記号的に用いたり、表に記入したりする場合や、固有名詞を書き表す場合を対象としていない。
「送り仮名の付け方 前書き」(文化庁)(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/maegaki.html)
送り仮名は、読み間違いや読みづらさを解消するために付けるものです。
「送り仮名の付け方」は個人の表記や表現までを対象としているわけではありません。
記事原稿を生かした、柔軟な統一を図るとよいでしょう。
しかしながら、この「送り仮名の付け方」をよりどころにすれば、まず、間違いないのではないかと安心できます。
「送り仮名のルール」を押さえておくことは、読みやすい記事を作成するための土台のひとつになると思います。
「送り仮名の付け方」は実践的で役に立つ
文化庁のサイトにある「送り仮名の付け方」には、約500語の語例が掲載されています。
インターネットで公開されていますから、誰でも文化庁のサイト、「送り仮名の付け方」(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/index.html)から見ることができます。
構成は以下となっていて、それぞれの語例が挙げられています。
単独の語
1.活用のある語
通則1 (活用語尾を送る語に関するもの)
通則2 (派生・対応の関係を考慮して,活用語尾の前の部分から送る語に関するもの)
2.活用のない語
通則3 (名詞であって,送り仮名を付けない語に関するもの)
通則4 (活用のある語から転じた名詞であって,もとの語の送り仮名のつけかたによって送る語に関するもの)
通則5 (副詞・連体詞・接続詞に関するもの)
3.複合の語
通則6 (単独の語の送り仮名の付け方による語に関するもの)
通則7 (慣用に従って送り仮名を付けない語に関するもの)
付表の語
1(送り仮名を付ける語に関するもの)
2(送り仮名を付けない語に関するもの)
「送り仮名の付け方」「本文」の見方及び使い方(文化庁)(https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/mikata.html)
例えば、「1.活用のある語」の通則1を見てみましょう。
「活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は、活用語尾を送る」と示されていて、「送り仮名の付け方の基本的な法則」が解説されています。
具体的な例として、
憤る 承る 書く 実る 催す
生きる 陥れる 考える 助ける
荒い 潔い 賢い 濃い 主だ
以上のように、語例が挙げられています。
さらに、
例外 (本則には合わないが、慣用として認められるもの)
許容 (慣用として認められるもの)
についても、示されています。
通則1~7まで、また付表の語について、具体的な語とともに、例外、許容、注意なども示されています。
ぜひ、参考にしてみてください。
迷ったら「記者ハンドブック」を引いてみる
「送り仮名の付け方」通則1に語例として挙げられている「荒い」という言葉があります。
彼は語気を「あらげて」抗議した。
このようなとき、「送り仮名はどうしたらいいんだろう?」と迷ったら、
私は『記者ハンドブック 新聞用字用語集 第14版』 (共同通信社)を引くようにしています。
「あらい」を引くと、
あらい
=荒い
と示されています。
「送り仮名の付け方」に準拠していることがわかります。
「あらげる」を探すと、「あららげる」という語が挙げられています。
あららげる 荒らげる
[荒げる=あらげる=は使わない]
注意書きとともに、共同通信社の用字用語の表記ルールが示されています。
記者の人たちも「荒らげる」という言葉を使うときは、送り仮名に迷うところなんだなぁと感じたりもします。
また「おこなう」を見ると、次のように書かれています。
おこなう 行う 行い
このように、共同通信社の用字用語の使い方に準じた表記ルールを知ることができます。
ちなみに、「【表記統一】「読みやすい記事」作成| 基本を極めるコツ」で『記者ハンドブック』について紹介していますので、こちらも参考にしてください。
まとめ
今の時代は、「送り仮名の付け方」が制定された昭和48年当時とは違います。
パソコンやタブレットなどの情報端末を使って、記事原稿を作成することがほとんどです。
ですから、送り仮名は自動で付くことと思います。
送り仮名の付け方を覚える必要はないかもしれません。
けれども「おや? この送り仮名でいいのかな?」と疑問に思ったとき、準拠すべきルールがあれば安心です。
悩んだり、調べたりするムダな時間を使う必要もなくなります。
知識も増えて、文章力アップにもつながるでしょう。
今回は、文章力をアップする【送り仮名の付け方】についてお伝えしました。
もう一度、ポイントをまとめておきましょう。
送り仮名は、誤読を避け読みやすくするためにあると理解しておく
送り仮名は、使い方に幅があるため、不統一になりやすいので注意する
送り仮名の付け方を統一して、読みやすい記事を作成する
別の記事では、「売上高? 売り上げ高? 表記はどっち?『経済関係複合語』の送り仮名」についてご解説しています。こちらもぜひ、参考にしてみてください。
皆さまの記事作成のお役に立てばうれしいです。
【資料・参考文献】
『Editor’s Handobook 編集者・ライターのための 必修基礎知識』(編集の学校/文章の学校[監修]、雷鳴社)
『実例 校正教室』(日本エディタースクール)
『日本語表記ルールブック』(日本エディタースクール)
『記者ハンドブック 第14版 新聞用字用語集』(共同通信社)
「送り仮名の付け方」(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/index.html
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