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ヒロインは65歳! 漫画『海が走るエンドロール』″後悔しない生き方”

umeko
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こんにちは、Umekoです。

出版関係で30年以上、企画編集者をしてきました。
60歳でブログをスタート、好きなことをしながら自由に生きる方法を探索中のシニアネクストです。

今回は、シニアが主役で話題のマンガ、『海が走るエンドロール』(たらちねジョン/秋田書店)を紹介します!

ここ数年、シニア世代を主人公にした漫画が人気となっています。
この人気を牽引している代表的な作品のひとつが、『海が走るエンドロール』です。

ヒロインのうみ子さんは、65歳から映画監督を目指します。
美大に入学して映像を学ぶなかで、立ちはだかる数々の葛藤。
それらを乗り越えながら、夢に挑戦していきます。

シニア世代になり感じる人生の黄昏時。
いろいろな思いがわいてくるでしょう。

  • 今の幸せは、自分が本当に求めている幸せなの?
  • これまでの人生で、本当にやりたいことができてきたかな?
  • 本当にすべきことは、まだほかにもあるのではないか?

何かを始めたい気もするのだけれど、

  • 何をしていいのか、具体的にわからない
  • 新しい一歩が、なかなか踏み出せない
  • 「この年齢から新しいことを始めるのはどうなの?」と思ってしまう

こんなモヤモヤした気持ち。
多かれ少なかれ、持っている方はきっと多いのではないかと思います。

けれど、このマンガは教えてくれます。
モヤモヤは、悪じゃない。
モヤモヤが、人生を変えるエネルギーになるんだよ。

とにかく、すごいマンガと出合ってしまいました。
私はこのマンガを読んで、「新しい可能性はこうしたら見つかるのか!」と勝手に納得して、ワクワクしてきましたよ!

それでは、さっそくご紹介していきましょう。

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『海が走るエンドロール』とは?

『海が走るエンドロール』は、『このマンガがすごい!2022』(宝島社)のオンナ編で第1位、2023年には第6位、2年連続ランクインした人気作品です。
SNSでも話題となり、テレビ、雑誌、新聞などでも多数取り上げられ、若い人からシニア層まで、幅広い読者の心をつかんで話題となっています。

ヒロインは65歳の茅野(ちの)うみ子さん。
夫と死別して心にぽっかり穴が開いたような寂しさを抱えています。
そんなある日、数十年ぶりに映画館に行くことになります。
「初デートも映画館だった」と、若いころの自分を思い出すうみ子さん。

しかしそこで、海(カイ)という映像専攻の美大生に出会います。
この偶然の出会いが、65歳のうみ子さんの人生に奇跡のような物語を巻き起こしていくのです。

この作品の魅力は、数えきれないほどあるかと思います。
その中で実生活でも役立つと思ったのが、「うみ子さんの自分らしく生きる秘訣」です。これはすなわち、「人生を後悔しない生き方」と言えるでしょう。

うみ子さんの「人生を後悔しない生き方」

今やりたいことを、全力でやりきる

「心のモヤモヤ(葛藤)」をスルーしない

それでは、″『海が走るエンドロール』に学ぶ「後悔しない生き方の秘訣」″をご紹介していきましょう。

秘訣 今やりたいことを全力でやりきる

映画館で偶然に出会った不思議な雰囲気の美少年、海(カイ)。
彼との出会いで、うみ子さんの人生に変化が訪れます。

海(カイ)がうみ子に発した鋭い言葉。
その言葉が、うみ子の心をかき乱して大波を引き起こすのです。

うみ子さんさぁ
映画作りたい(こっち)側なんじゃないの?

そんな人間はさ、
今からだって死ぬ気で
映画作ったほうがいいよ

『海が走るエンドロール 1』(たらちねジョン/秋田書店)

それまで何十年も、妻として母として、その役割をまっとうしてきたうみ子さん。
その役割が、決してイヤだったわけじゃない。

けれど、心の奥底に封印されていた「もうひとりの自分」の蓋が開くのです。
自分の「あたり前」が、足元から揺るがされる瞬間です。
心に打ち寄せる感情の波を、鋭いセリフと独特の描写で表現しているのは秀逸です。

新しいうみ子さんの物語が、勢いよく幕を開けます。
65歳からだって、何歳からだって、人生は新しく始められるのです!

秘訣 心のモヤモヤをチャンスに変える

なんとなくモヤモヤすることって、日々の生活ではありますよね。
でもやり過ごせば消えていく。
このレベルのモヤモヤであれば、スルーしていませんか?

このモヤモヤの扱いに一石を投じているのが、本作のように思います。

『海が走るエンドロール』では、小さな心の葛藤もていねいに描かれていきます。
周囲との人間関係や、なんとなくの居心地の悪さ、つい口にしてしまう自虐的な言葉など、さまざまな場面でのモヤモヤが掘り下げて取り上げられています。

海(カイ)は穢れなき純粋な存在として、美しく描かれています。

例えば、こんなシーンがあります。
うみ子さんは映画づくりに本気です。
けれど、周囲は「65歳の大学1年生」に奇異の目を向けてしまいます。
そんな空気を忖度して、つい自虐的な言葉を口にしてしまうのです。

いやいや
あんなのほらっ

フツーの
ただの老後の趣味だから

『海が走るエンドロール 1』(たらちねジョン/秋田書店)

「あーあ、言っちゃった~」と心配になるシーンです。

実生活でもありがちですよね。
忖度したり、常識に合わせてしまったり。
本音を口にすると、「波風が立ちそうだから」とためらったり。

けれど「他人はだませても、自分はだませない」
これは、能力開発の魔術師、西田文郎先生の大切な教えです。

思ってもいない言葉は、自分も周囲も傷つけます。
自分の発した言葉で、取り返しのつかないダメージを抱えている海(カイ)は、うみ子の自虐的な言葉を聞き逃しません。

うみ子に、こう問いかけるのです。

うみ子さん、映画
老後の趣味って言ってましたよね

…そういう思ってもないこと言ってしまった時
後悔しないんですか

それとも
うみ子さんはもう時間が少ないから
あきらめるんですか

うみ子の心に、雷鳴が轟く瞬間です。
二人は、合わせ鏡のように共鳴し、補い合いながら、心の葛藤を力に変えていきます。
なんと貴い関係でしょうか。

モヤモヤを直視することが、推進力になっていく。
モヤモヤはただの悪者ではない。
モヤモヤにはものすごい力があるんですね!
私は目からうろこがポロポロ落ちました。

その後もモヤモヤをエネルギーに変えながら、65歳のうみ子さんは少しずつ変わっていきます。

マンガの冒頭では、うみ子さんはまるで古雑巾のように描かれていました。
髪をなびかせて海でカメラを構える、かっこいいシニア女性のカバーイラストに魅かれて読み始めたのです。
それなのに、「若い人から見た65歳って、こんなに老け込んでるわけ?」と少しショックを受けました。
うみ子さんが周囲から「おばあさん」と言われることには、「65歳って、おばあさんじゃないでしょ!」と異議申し立てをしたくなりました。

けれど、これは私のミスリード。
ストーリーの展開とともに、うみ子さんはどんどん魅力的になっていく。

猫背気味だったうみ子さんの背筋が伸びて、表情も変わっていきます。
着こなしだって、おしゃれを楽しんでいるのがわかるようになっていきます。

輝きが増していくうみ子さん。
その描写からは、「人間は何歳からでも、心の持ち方ひとつでいくらでも魅力的になれる」という、作者さんの強く優しいメッセージを勝手ながら感じています。

「後悔のない人生を送る秘訣」とは? 

このマンガを読んでいて、心に浮かんでいた言葉があります。
それは、「やった後悔・やらなかった後悔」という言葉です。

終末期医療の専門医が書いた『死ぬときに後悔すること 25』

緩和医療がご専門の大津秀一医師が書かれた、『死ぬときに後悔すること 25』(致知出版社)という本があります。
終末期の患者さんが後悔されていた事例を取り上げて検討を加え、「死ぬときに後悔すること 25」としてまとめられたのがこの本です。
ベストセラーになった本なので、読まれた方も多いかと思います。

この本の冒頭で、著者は次のように書いています。

終末期の患者さんをまず苦しめるのは身体的な苦痛である。私はそれを取り除くスペシャリストなのである。
しかし一方で、身体的な苦痛は取り除けても、その人の心の苦痛を取り除くことはなかなか難しい。

<中略>

いまわの際に「先生、私はもう思い残すことはないですよ」、そう胸を張った数少ない患者さんたちは、世間一般よりずっと早くから、後悔を残さないように「準備」をしてきたように思えた。彼らの生き方は、いつ死んでも後悔が少ないような、問題を残さない生き方である。

『死ぬときに後悔すること 25』(大津秀一著/致知出版社)

著者は「これらを早めに遂行して、何とかしておいて欲しい。そうすれば、後悔が少ない一生が用意されるだろう」と、述べています。

「やりたいことは、今すべき」である

『死ぬときに後悔すること 25』で「心理編」のトップに挙げられているのが、「自分のやりたいことをやらなかったこと」です。

自分勝手の自由ではなく、自らによって立ち、何ものにも束縛されない真の自由に生きる人間は本当に強い。
心の部屋に清涼な風が吹き込むように、窓をいっぱいに開けて己がしたいように生きるべきだ。

とにかくいまわの際には、自分に嘘をついて生きてきた人間は、必ず後悔することになろう。

転職したいなら、今すべきである。
新しい恋に生きたいなら、今すべきである。
世の中に名前を残したいなら、今からすべきである。

『死ぬときに後悔すること 25』(大津秀一著/致知出版社)

自分を取り戻し、自分らしく生きることができれば、「自分の人生は何だったのか?」というような後悔ははるかに少なくなると思う、と示しています。

死ぬときに後悔すること25[本/雑誌] (新潮文庫) (文庫) / 大津秀一/著

*現在は、文庫化(新潮文庫)されているようです。

自分がやりたいようにやってみる

「自分がやりたいようにやってみる」
これは、瀬戸内寂聴さんの言葉です。

仏教では「今を生きよ」と説きます。
何もせずに後悔するより、今、自分がやりたいようにやってみること。
たとえ失敗してもその経験は決して無駄にはなりません。

「瀬戸内寂聴 やらずに後悔するより、自分がやりたいようにやってみることです」(ニッポン放送 NEWS ONLINE)https://news.1242.com/article/236881

「若い頃からいつ死んでもいいと思って生きてきた」という、寂聴さんの教えには説得力があります。

『海が走るエンドロール』でも、うみ子さんが映画に挑戦し始めるのは65歳です。
世間の常識では、遅すぎる年齢かもしれません。

映画づくりを「ただの老後の趣味」と揶揄され、自らも口にしてしまったことを思い起こして、うみ子さんが自問自答するシーンがあります。

老後の趣味?
でもあれは、率直な世間の声でしょう。

これから4年間学んで
卒業したら69歳

映画を撮る時間は
私にどれだけ残されているだろう

私が撮りたい映画を考えなくては
対岸まで辿り着けるように

『海が走るエンドロール 3』(たらちねジョン/秋田書店)

モヤモヤに足元をすくわれそうだったうみ子さんとは違います。
自分で自分の心をコントロールして、前に進むエネルギーにしていきます。

人生の残り時間でゴールまで行けるかどうかは、わかりません。
けれど、今できることに、全力で取り組んでいくのです。

後悔しない人生を生きる秘訣は、

自分が今やりたいことを、やりたいようにやってみること。
どうなるかはわからないけれど、今の気持ちに誠実に、とにかく精一杯やってみること。
それは、何歳であっても変わらない。

『海が走るエンドロール』は、こう教えてくれるように感じています。

まとめ

今回、紹介した『海が走るエンドロール』(たらちねジョン/秋田書店)は、現在も月刊ミステリー「ボニータ」(秋田書店)にて連載中で、第1~第5巻まで単行本化されています(2023.8時点)。

「海が走るエンドロール 6 」2024/3/14発売

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今回の記事は、「マンガ『海が走るエンドロール』に学ぶ〝後悔しない生き方の秘訣”」をご紹介しました。

躍動するシニアが主役の人気マンガは、『海が走るエンドロール』のほかにもたくさんあります。

『傘寿まり子』(おざわゆき / 講談社)
『メタモルフォーゼの縁側』(鶴谷香央里 / KADOKAWA)
『マダムたちのルームシェア』(seko koseko / KADOKAWA)
『はなものがたり』(schwinn / KADOKAWA)

どの作品にも、シニア自分らしく生きようとするシニア女性たちの姿が描かれています。

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『傘寿まり子』は、以下の記事でも紹介しています。

あわせて読みたい
【シニア女子におススメ漫画】『傘寿まり子』|80歳の挑戦と冒険!新時代の生き方
【シニア女子におススメ漫画】『傘寿まり子』|80歳の挑戦と冒険!新時代の生き方

こちらもぜひ、参考にしてみてくださいね。

今回の記事が、少しでも皆さまのご参考になればうれしいです。
それではまた、お目にかかりましょう。

資料・参考文献

『このマンガがすごい 2022』(宝島社)
『このマンガがすごい 2023』(宝島社)

『死ぬときに後悔すること 25』(大津秀一著/致知出版社)
『寂聴 九十七歳の遺言』(瀬戸内寂聴/朝日新聞出版)

『海が走るエンドロール』(公式HP/秋田書店)
https://landing.akitashoten.co.jp/endroll/

「瀬戸内寂聴 やらずに後悔するより、自分がやりたいようにやってみることです」(ニッポン放送 NEWS ONLINE)
https://news.1242.com/article/236881

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シニアブロガー/編集者
60代でブログをスタート。
人生100年、夢と希望のワクワクシニアを目指して活動中!
ブログを書いて、「お金」も「幸せ」も増やす情報を現在進行形でお伝えします。

【経歴】新卒でアパレル営業職/業界新聞社勤務/出版社で書籍企画と編集/ただいまデジタル学習中。趣味はゆるマラソンと山歩き。

NHK『ニュースきん5時』の「シニアが主人公のマンガが人気」特集で紹介されました。
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